会社設立16年目にして、トマトの周年栽培をやめることになりました

静岡アグリビジネス研究所ではトマトの周年栽培をしていましたが、昨今の猛暑の影響により真夏のトマト栽培が困難となり周年栽培をやめることになりました。

今までも真夏のトマト栽培はとても難しく、暑さの影響による着花不良、花が咲いても果実がならなかったり、せっかく果実がなっても裂果してしまい出荷できなくなっていました。

暑さを和らげるために内部遮光カーテンをかけて外部から空気を取り入れる大型ファンを稼働させたり、外部遮光カーテンを設置したりしましたが、それでも暑すぎてトマトの収量を増やすどころか、まともに栽培することもできなくなってきました。

これは静岡県の日最高気温の月平均値のグラフですが、10年前と比較すると年間を通して2,3℃高くなっているのが分かります。特に去年、一昨年の7月、8月、9月は酷い暑さでまさに酷暑でした。

そして、これからもこの酷暑が続くことが予想されていることから、真夏のトマト栽培は困難であると判断しました。

次に弊社の月別の収量を見ていきます。

このように5月,6月,7月までが収穫のピークで8月から急激に減っているのが分かります。そして暑さが落ち着いた11月、12月と徐々に回復していきます。

暑いのは7月、8月、9月なのになぜ10月、11月が収量が少ないのかと疑問に思った方がいるかもしれません。

真夏のトマトは播種してから花が咲くまで約35日、花が咲いてから約40日でトマトが出荷できるようになります。なので10月、11月も収量が少ない原因は10月、11月のトマトが生育している期間が7月、8月、9月だからです。このように生育期間に猛暑にあたると花が飛んでしまったり、着果不良、裂果によって収量を大きく減らす要因となります。


このグラフは2023年、2024年の株当たり収量(青)とA品率(黄色)のグラフです。

株当たり収量とは1株から収穫できるトマトの収量のことでA品率はスーパーに出荷できるトマト(A品)の割合です。

まず株当たり収量を見ると2023年も2024年どちらも7月~10月栽培のトマトで1kg/株を下回っています。冬に栽培しているトマトが2.5kg/株程度なので、夏は冬の40%以下しか採れていません。

さらにA品率のグラフを見ると2023年夏で約50%、2024年の夏は20%しかA品が採れていません。

2024年の8月、9月は特に厳しく、株当たり収量が冬の20%程度、A品率も20%と(0.2*0.2=0.04)冬の4%の量しかA品を出荷することができませんでした。

以上の理由から夏にトマトを栽培しても全くトマトが収穫できない状況なのでトマトの周年栽培をやめることになりました。代替作物のメロンについては、後日紹介します。

静大トマトを楽しみにしてくれているお客様には申し訳ありませんが、夏は一旦お休みさせていただきます。出荷の再開は11月末頃を予定しております。

                             天野 季節(とき)

静岡県の日最高気温の月平均値参照元

https://www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/monthly_s3.php?prec_no=50&block_no=47656&year=2010&month=&day=&view=a2



(株)静岡アグリビジネス研究所

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