新しい温室でのメロン栽培が始まりました。~メロン栽培経過報告その1~

今年も新旧のお盆時期の出荷を目指して、メロン栽培が始まりました。昨年までは世界遺産になるような昭和49年(1974年)建造のスリークオターメロン温室(110㎡)2棟で栽培していましたが、今年からは丸屋根ビニール温室(162㎡、132㎡、102㎡の変則3連棟、それぞれ8-1、8-2,8-3号と呼称)で栽培することになりました。今回は、8-1号棟でのメロン栽培の途中経過を紹介します。8号温室設備設置工事については、5月16日発信の飯田ブログ参照。

3月19日にロックウール粒状綿を詰めた128穴セルトレイに播種し、28℃の発芽機にて約1日半で出芽させ、3月21日に苗テラス(人工気象室)にて育苗を開始しました(写真下)。

3月29日に本葉1枚になったところでDトレイに移植して7号温室で2次育苗を始めました。

本葉2.5~3枚時(写真下1枚目)になった4月12日に本圃(8₋1号温室)に定植しました(写真下2枚目)。定植といってもDトレイ1枚に10株栽培していたものを、Dトレイ1枚当たり5株に広げて配置しなおしただけです。栽植密度は株間24㎝、Dトレイ栽培棚3列2条振り分け、合計590株/162㎡です。

メロンの生育スピードは大変早く、4月30日には本葉12~13枚まで生育し、5月8日には11節当たりの雌花(と栽培者は呼んでいるが、実は両性花)の交配が始まりました。5月8日発信の木邨ブログ参照。

交配方法等の詳細は、2021年5月8日と2020年5月25日発信の「メロン栽培経過報告」ブログを参照ください。

5月8日に始まった交配は、おおむね5月13日に終了し、8日交配の果実は鶏卵大までに肥大しています(写真下は5月15日現在の栽培状況の写真で。一番手前の果梗に白いタグの付いた果実は、5月9日交配です)。

メロン栽培では、果実の生育ステージごとに水、肥料、温度・湿度などの環境管理が異なりますので、いかに交配日(生育ステージ)を揃えるかが大きなポイントです。そいう意味では、交配日を5日以内に揃えられたので一安心です。栽培管理の観点からは、交配日は揃えたいのですが、弊社の個別販売の観点からは、交配日(=出荷日)は少しずつずれてくれた方がありがたく、ジレンマです。今回のメロンの収穫(出荷)は、交配55日後の7月2日から7月6日となります。購入希望の方は、本HPの「製品・サービスに関するお問い合わせ」にて連絡ください。)

さて一般管理ですが、5月11日にはおおむね23節で摘心し、下葉も9枚摘葉しました。肥培管理としては、摘心後は肥料分の吸収が減ってくるので、培養液濃度を下げていきます。ネット発現は交配後15日辺りからお尻側から同心円状に始まり、その後縦ネット形成となりますが、交配後の玉禿(果実の軟化)がうまくいかないと、きれいなネットが発生せず、ミミズネットや裂果を誘発します。玉禿をうまく起こさせる管理の一つが温度です。このステージの夜温は23℃は欲しいと言われています。温室メロンは他の作物より高温で管理されていますが、夜温23℃はトマトなど(前夜半でも16℃程度)に比べるとかなり高温です。特に冬場の高温管理はコストがかかりますので、メロンが高いのは致し方ないところです。今の時期は、最低夜温が10℃後半ですので、夜温を23℃にするには外気温より5~6℃高くするだけなので、今作の暖房費は一晩数百円で済んでいます。

今後、摘果(選果、1株に1個)、玉吊りが終われば、あとは植物体に触ることはほとんどなく(と言っても、芽欠きや病害虫防除はあります)、ただ見ているだけとなりますが、果実肥大状況などを追ってお知らせします。

糠谷 明



(株)静岡アグリビジネス研究所

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