2022年秋のトマト栽培状況

現在、弊社でどのような栽培が行われているか、紹介します。

10月23日に「苗作りが重要~苗半作~」で紹介したように、今年の暑さは例年になく厳しく、苗の生育や定植後の生育がことごとく想定外のダメージを受け、8月から現在にかけては弊社の存亡の危機ともいえるほど、トマトの収量が落ち込んでいる状況です。

ちなみに10月の収量は548kgで、10月の記録(2012年~)としては、過去最低(2018年は1920kg)となってしまいました。2012年10月には706kgという記録があるのですが、これはコナジラミで3号温室が全滅し、栽培を断念した年です。その時は10/24から12/7まで田子重様の出荷も休ませてもらっています。現在の出荷は5号西のみですが、定植(8月12日)後に高温で半分以上の株が枯れてしまい、1200株中590株しか生き残っていません。11月中旬から出荷が始まる4号GH, EFブロックの収穫が待ち遠しいところです。4号ブロックの収量は期待できる状況です。

弊社では、静岡県では珍しい「周年出荷」を目指しています。ここ数年は3号、4号、5号東、5号西の4ブロック(各1800株)で、5段摘心・低段密植栽培を行っていました。が、盛夏期の5段栽培は、どうしても4~5段目の着果が不良で、年間収量が低下する要因となっておりました。そこで、盛夏期は3段栽培、それ以外の時期は5段栽培を行うことに栽培計画を変更しました。ただ、4ブロックで3段栽培を連続すると、出荷が途切れてしまうので、4ブロックを7ブロックに再編しました。その結果が以下の作型です。今年は移行期で、連続出荷をするために、3号CDブロックのように、7段栽培を行わざるを得ないブロックも出てきました。7ブロックに移行した時の、作業時間なども記録しながら、作型の完成度を高めていきます。

次の写真は、弊社の温室の平面図です。栽培温室は大小合わせて5棟(3号棟AB+CDブロック480㎡,4号棟EF+GHブロック520㎡,5号棟東、中、西ブロック1000㎡,7号棟2次育苗室90㎡,8号棟400㎡)で合計約2500㎡です。

では、それぞれの温室(7ブロック)の栽培状況を紹介します。写真はいずれも10月28日撮影。8号棟の栽培状況については、10月31日発信の「今年の高糖度プレミアムトマトの栽培計画」を参照ください。

4号棟 GHブロック(900株)3段栽培、8/10播種(麗月)、8/29直接定植(2次育苗なし)、10/17摘心、11/21~1/10収穫予定。

定植(8月29日)後に心止まりが発生した株が3割程度あり、側枝の発育を待ったので、1段目に相当する収量が望めないのですが、例年並みの収量を期待しています。

4号棟 EFブロック(900株)5段栽培、8/10播種、8/29直接定植(2次育苗なし)、11月上旬摘心予定、11/21~2/26収穫予定。

GHブロックと同様に、定植(8月29日)後に心止まりが発生した株が3割程度あり、側枝の発育を待ったので、1段目に相当する収量が望めないのですが、例年並みの収量を期待しています。

3号棟 ABブロック(900株) 5段栽培、8/30播種(麗月)、9/16直接定植(2次育苗なし)、11月上旬摘心予定、12/11~2/26収穫予定。各段の着果良好。

3号棟 CDブロック(900株) 7段栽培、8/30播種(麗月)、9/16直接定植(2次育苗なし)、11月下旬摘心予定、12/11~3/9収穫予定。各段の着果良好。

ここまでの夏の播種栽培では、裂果抵抗性の麗月、麗旬を使っています。花芽発育期に高温に遭遇すると、その後の生育期に涼しくなっても、裂果、裂皮が多発するので、これらの時期は、裂果抵抗性品種を栽培します。

5号東 1・2ブロック(1200株)5段栽培、9/19播種(桃太郎ヨーク)、10/7直接定植(2次育苗なし)、1月上旬摘心予定、1/19~3/26収穫予定


5号中 3・4ブロック(1200株)5段栽培、10/7播種(桃太郎ヨーク)、10/26直接定植(2次育苗なし)、2月上旬摘心予定、2/21~4/19収穫予定

5号西 5・6ブロック(1200株)、

現在3段栽培(写真下):7/22播種(麗旬)、8/12直接定植、9/27摘心、10/7~11/28収穫予定

次作5段栽培:10/28播種(桃太郎ヨーク)、以下予定;11/18_2次育苗、12/2定植、2月下旬摘心、3/5~4/29収穫

現在栽培中の作型では、8月の定植直後に苗が高温でやられてしまい、生き残った株は半分以下(1200株中約500株)という悲惨な状況です。全滅ではなく生き残った株があるということは、何らかの温度対策をすれば、すべての株が健全に育つことを意味しています。次年度にまた想定外の高温に遭遇しないように、今から対策を練っておきます。

下の写真の左側に咲いているのは、コナジラミの天敵タバコカスミカメのバンカープラントであるクレオメの花です。タバコカスミカメがコナジラミを食べてくれるので、コナジラミの繁殖をうまく制御しており、殺虫剤の散布はほぼしておりません。

代表取締役 糠谷 明

(株)静岡アグリビジネス研究所

農業をサイエンスに "Dトレイ栽培"で安定収入と週休2日を実現