遮熱剤の塗布で温室内気温がさがりました

初めまして。今年4月に入社しました、服部 蓮といいます。

 今回は近年の夏の異常な暑さに何とか対策を立てよう!ということで、7月6日に5号ハウス(6m×27m×6スパン≒1000㎡)への遮熱剤散布をしてみましたので、紹介します。

使用した遮熱剤は“レディヒート”というもので、水で原液をお好みの遮光率に合わせて希釈(レディヒート1缶当たり水40~65ℓ)し、攪拌しながら、動力噴霧器で散布するものになります。

遮熱率は推奨倍率の24%に合わせて希釈しました。(1000㎡当たり 2.5缶/130ℓ)

詳細は下記のリンクをご覧ください。

https://pentakeep.seiwa-ltd.jp/wp-content/uploads/2021/03/11439b7103f42a2017bf90de39be0a58.pdf

写真1.レディヒート15kg缶

下の写真が原液を希釈しているところです(写真2)。

右に見えるホースの先端に撹拌機がつながっており、攪拌しながら希釈します。

原液はかなり密度が高く、抵抗が強いので、人力で攪拌し続けるのはかなり厳しいと思われます。

写真2 原液を攪拌しながら希釈している様子

(写真3)左から伸びている赤いホースが動力噴霧器の吸い込み/戻し用ホースで、右から伸びている黒いホース先端にが撹拌機が繋がっています。撹拌機(もしくは人力)で攪拌しながら散布しないと容器の底に原液が沈殿し、散布した時に塗りムラが出来てしまいます。


写真3 遮熱剤散布中のタンクの様子

写真4は実際の散布の様子です。まんべんなく散布して雨樋に少し液だれしてくるくらいに調節しながら散布しました。散布時間は2人で約2時間です(延べ4時間)でした。

↑写真4 屋根上での散布の様子

遮熱効果は3~5か月は続くそうなので、ひと夏に1回散布すればOKです。

ここからは実際の遮熱効果について説明します。

第1図は2025年6月27日のデータです。これは、ハウス内気温が外気温より数度高くなっていることを示しています。

この時は、ハウスの内側に設置してある保温カーテンを遮光カーテンとして利用しています。

カーテンの制御はDM-ONEでコンピュータ制御され、温室内強制遮光暖房負荷値が一定値(例えば-500W/㎡)を下回ると、自動でカーテンが閉まって遮光されます(写真5)。

しかし、カーテンを閉めると、もともと保温カーテンであるこのカーテンは妻窓を塞いで、風通しが悪くなり(写真5)、体感的には気温はあまり下がっていないように感じました。

写真5 保温(遮光)カーテンによる遮光の様子

※写真を撮る都合上カーテンが少し開いていますが本来は30センチほどしか開いていません。

第2図は遮熱剤塗布後(7月14日)のハウス内気温と外気温の比較です。

第2図の時は、第1図の時とは違い遮光カーテンは使わず、遮熱剤を塗布してあります。

それ以外は何も変えていません。

遮熱剤の塗布により、ハウス内気温は外気温と同じくらいとなり、ハウス内気温が外気温を上回る時間が減りました。

また、遮熱剤を使う(遮光カーテンを使わない)ことにより、環境扇(押し込みファン)の風が植物体に直接当たり、中にいる人も体感として風通しがかなり良くなり、気温が下がったように思えます(写真6)。

なお、温室内の日射は測定していませんが、遮光カーテンよりもハウス内がかなり明るくなったと感じます。(遮光カーテンの遮光率が約50%、レディヒートの遮光率が13%でした。)


写真6 環境扇が温室内へ外気を取り込む様子

今回は遮熱率24%で塗布しましたが、今年のような暑さが毎年続くようならもう少し遮熱率を上げて塗布してもいいかもしれません。ここは作る作物と費用対効果との相談になりそうです。

服部 蓮

(株)静岡アグリビジネス研究所

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